私はある日、葉巻を食事だと思いました。
もちろん、食べません。
食べるものではなく、味わうものです。
実際に食べると苦いので吐き出してください。
……でも、その日から不思議なことが起きたのです。
今まで食事で経験してきたことが、全部葉巻にも当てはまる。
そんな気がしたのです。
この記事で分かること
- なぜ同じ葉巻を何度も吸いたくなるのか
- 味覚だけでは説明できない葉巻選び
- 私が葉巻を「食事」だと思った理由
- 葉巻は味ではなく、記憶を吸っているという考え方
味覚は毎日変わる
例えば、皆さんにもこんな経験はありませんか?
昨日とても美味しかった料理。
今日食べたら、なんだか昨日ほど感動しない。
逆に、普通の料理なのに今日は妙に美味しい。
同じ料理なのに。
同じ味なのに。
なぜでしょう。
私は、体調によって味覚は変化すると思っています。
寝不足の日。
疲れている日。
何を食べた後なのか。
もしかすると腸内環境まで影響しているのかもしれません。
つまり、毎回葉巻を評価しているつもりでも、本当は今日の自分の味覚を評価しているだけなのです。
では、何を基準に葉巻を選んでいるのか。
では、何を基準に葉巻を選んでいるのでしょう。
朝なら軽めの葉巻。
食後なら少し濃厚な葉巻。
コーヒーの後。
甘い物を食べた後。
ワインのマリアージュと同じように、私は自然と合わせています。
ここまでは普通の話です。
でも、ある日ふと考えました。
「あれ?」
今日は、どうしてもこの葉巻が吸いたい。
理由はありません。
高いからでもない。
評価が高いからでもない。
ただ、今日はこれなんです。
今日は、これが吸いたい。
美味しい食事をした後に吸った一本。
休日に読書をしながら吸った一本。
静かな朝に吸った一本。
逆に、風が強く味が分からなかった一本。
騒音で集中できなかった一本。
全部同じ葉巻なのに、全部違う葉巻なのです。
葉巻は味だけで吸っているのではありません。
環境も。
時間も。
その日の出来事も。
全部まとめて吸っています。
葉巻は環境まで味わっている
だから私は、葉巻を吸うために食事をします。
身体を整えます。
できれば静かな時間を作ります。
風呂上がりの葉巻と、汗だくのまま吸う葉巻。
同じ葉巻でも、きっと違う味になるでしょう。
部屋で吸う葉巻。
外で吸う葉巻。
もしかすると、部屋に漂う香りひとつでも味は変わるのかもしれません。
それも、新しいマリアージュです。
葉巻だけではありません。
味覚を刺激するものなら、全部マリアージュになります。
だから私は、匂いにも気を使いたいのです。
もしかすると、葉巻は口だけで味わうものではなく
その場にあるすべてを味わう嗜好品なのかもしれません。
葉巻は環境ごと味わっている
そして気付きました。
私が吸いたかったのは葉巻ではありません。
あの日の時間。
あの日の空気。
あの日の幸福。
それらを、もう一度味わいたかったのです。
葉巻は味ではありません。
記憶を吸っていたのです。
葉巻は味ではなく、記憶を吸っている。
なぜ今日、その一本を選んだのでしょう。
それは私にも分かりません。
神のみぞ知ることでしょう。
ただ、一つだけ言えることがあります。
今、その瞬間に身体が求めた一本。
それこそが、その日のあなたにとって最高の葉巻なのだと思います。
だから私は、今日も身体の声を信じて葉巻を選びます。
……ちなみに。
葉巻を主食だと思っていますが、実際に食べるのはおすすめしません。
ちゃんとご飯を食べてから吸ってください。
ご飯は待ってくれます。
でも、葉巻は待ってくれません。
火をつけた瞬間から、あなたの葉巻人生はスタートしているのです。
止まっても構いません。
休憩しても構いません。
それでも、最後まで完走してあげてください。
途中で吸いきれなかった葉巻は……
静かに墓場へ向かうことになりますから。
ご飯は待ってくれます。
でも、葉巻は待ってくれません。

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