今回吸うのはFactory Smokes MaduroのToro。
いつものFS Maduroである。
しかし今回は、ただ普通に吸うために持ち出したわけではない。
きっかけは北乃ガラナさんだった。
前日のライブ配信で、届いたばかりのFactory Smokes Maduroを吸いながら、
「乳酸っぽい」
という感想を口にしていた。
そのときは酒も入っていて眠そうだったので、最初はコンディションの影響もあるのかなと思っていた。
ところが翌日、改めて吸った感想では、丸みのある焦げ感やバナナの皮を思わせる甘み、アーモンドの薄皮のような苦味など、かなりFSらしい評価になっている。
ならば私も試してみよう。
ちょうど今日、Factory Smokes Maduroが届いた。
しかも少し固めで、ドローも重そうな個体だ。
北乃ガラナさんが吸っていたのは恐らくGorditoで、こちらはToro。
長さは同じだが太さは違う。
完全な同条件とは言えない。
ただし、北乃ガラナさんはヘッドを指で摘み、むしり取るように開口していた。
私は9mmパンチである。
どちらも打撃技の範疇だと思うので、そこは同条件ということにした。
天候は晴れ。
少し暑く、海風あり。
検証開始である。

Factory Smokes Maduro Toroの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 銘柄 | Factory Smokes Maduro |
| メーカー | Drew Estate |
| ビトラ | Toro |
| サイズ | 6インチ × 52リング |
| ラッパー | Maduro |
| バインダー | Indonesian |
| フィラー | Central American |
| カット | 9mmパンチ |
| 喫煙時間 | 70分 |
| 今回の購入価格 | 約515円 |
着火前|ウッディ、ロースティ、そして段ボール

ラッパーから感じるのは、まずウッディ。
そこにロースト香があり、ごくわずかな甘みとカカオも感じる。
一方、フットはかなり素朴。
段ボール。
9mmパンチを入れてドローを確認すると、やはり重めだった。
今回の個体は少し固い。
この重さが乳酸検証にどう影響するか。
まずは普通に吸ってみる。
序盤|いつものFS。そして乳酸は本当にいた

着火。
普通に煙を吐けば、まずウッディが強い。
ボディはミディアムライト程度。
レトロヘイルでは胡椒のような刺激があるが、少し薄い。
指一本分ほど進むとナッティさが現れ、胡椒も落ち着いてくる。
代わりに出てきたのは、
カカオとピーナッツ。
ああ。
いつものFS Maduroだ。
ここまでは何もおかしくない。
では、例の「乳酸っぽさ」を探してみる。
休ませず、少し早く、強めに吸ってみた。
……いる。
確かに少し酸味がかったニュアンスが出てくる。
なるほど。
これを「乳酸っぽい」と表現したのか。
理解できる。
そして私は、この味をあまり美味しいとは思わない。
面白いのは、一度この状態にすると、吸うペースを通常に戻しても酸味がすぐには消えないことだ。
1パフ。
まだ酸っぱい。
2パフ。
まだいる。
3パフ目くらいになって、ようやくいつものFactory Smokes Maduroらしい味に戻ってきた。
今回の個体はドローが重いため、自然と吸い込みが抑えられる。
だからむしろ酸味が出にくいのかもしれない。
しかし、一度「乳酸」を意識してしまうと不思議なものである。
美味しくないのに、また確認したくなる。
強く吸う。
酸っぱい。
「やっぱりいる」
もう一度吸う。
酸っぱい。
完全に酸味をデバッグする人になっている。
ただし、ドリンクを口にすると一度リセットされる。
特にココアやチョコ系のドリンクとの相性は相変わらず抜群。
口の中が整うと、ピーナッツがものすごく強く感じられた。
中盤|乳酸は消え、いつものFSへ

中盤。
ここからは意図的に酸味を追わず、いつものペースで吸ってみる。
結果は明快だった。
いつもの味である。
酸味が勝手に戻ってくることはない。
カカオとピーナッツを中心とした、私がよく知っているFS Maduro。
灰は綺麗な白。
黒いMaduroラッパーとの対比が美しい。
以前吸ったアロマデニカを思わせるような、見事な白い灰だ。
そして改めて思う。
これ、515円なんだよな。
Toroサイズで、この味。
マグロのトロを食べるときくらいに震える。
ただしMaduroらしく、片燃えはする。
これはいつものことだ。
片燃えを修正するためにパフを続けていると、ここで意外な味を見つけた。
レザー。
メインはあくまでカカオとピーナッツ。
しかし、その奥に確かに革っぽいニュアンスがいる。
これは意外な発見だった。
今まで気づかなかった理由にも心当たりがある。
私は普段、葉巻を吸いながらかなりこまめにドリンクを飲む。
今回は片燃えをパフで直すことに夢中になって、しばらく飲み物を口にしていなかった。
そのため、普段ならドリンクで切り替わってしまう味の余韻を、長く追えたのかもしれない。
Factory Smokes。
奥が深い。
片燃えを観察してみる
今回、片燃えにも少し注意してみた。
見ていると、燃え遅れるポイントには傾向がある。
大きな葉脈がある場所。
そしてラッパーが重なっている場所。
このあたりで燃焼差が起きやすいように感じる。
片燃えしている側を意識しながら、いつもよりほんの少し長めに吸うと、ラッパーが追いつきやすい気もする。
もちろん普通に焼いて修正してもいい。
試しに少し火を当ててみる。
するとオイリーさに加えて、苦味と渋みが増した。
とはいえMaduroなので、そこまで嫌な方向には感じない。
これがShadeだと、私はこの苦味がかなり気になってしまう。
Maduroのカカオやロースト感の中なら、多少の苦味はむしろ馴染んでくれる。
終盤|乳酸はバターになったのか

終盤に入る。
片燃えしながらも、葉巻の後ろから日差しが差し込んだ。
なんと神々しい姿だ。
そしてここで、ほんのりとバター感を感じた。
序盤に乳酸っぽく感じたニュアンスが、同じ乳製品つながりでバターのような方向に変わったのだろうか。
もちろん、本当に同じ何かが変化したとは言えない。
ただ、一本を通して自分が感じた流れとしては面白い。
序盤では酸味としてネガティブに感じたものが、終盤ではコクとして受け取れる。
味は少しずつ苦く、渋くなっていく。
酸味も目立ってくる。
それでもドロー間隔を空け、弱く吸えばまだ美味しい。
ここはかなり重要だった。
今回、バンド付近まで約40分。
普段より明らかに速いペースで吸っている。
それでも中盤以降は大きく崩れなかった。
私の感覚では、
序盤は吸うペースに少し気をつけたほうがいい。
早く強く吸うと、例の乳酸っぽい酸味が出やすい。
しかし中盤以降は、そこまで神経質にならなくてもいい。
チョコ系ドリンクとの相性はやはり強い
終盤、さすがに喉が渇いたので久しぶりにドリンクを入れる。
幸せだ。
舌に残る甘みが、葉巻側の渋みや苦味をマスキングする。
するとカカオやコーヒーのニュアンスが一気に持ち上がる。
やはりFactory Smokes Maduroにチョコ系ドリンクは強い。
ピーナッツ。
カカオ。
コーヒー。
そこに少しレザー。
苦味が増える終盤でも、この組み合わせならかなり長く楽しめる。
もっと美味しい葉巻はある。でも、それで満足できるのか
終盤を吸いながら、ふと思った。
私にとって、この葉巻より満足できる葉巻はないのかもしれない。
もちろん、味だけを比べればもっと美味しい葉巻はいくらでもある。
複雑な葉巻。
香りの厚い葉巻。
変化に富んだ葉巻。
一本2000円、3000円、あるいはそれ以上の葉巻を吸えば、「すごい経験をした」と思うこともある。
それはそれで価値がある。
だが値段を考えると、どれだけ美味しくても純粋な満足感ではFactory Smokesに勝てないことがある。
515円。
Toroサイズ。
70分。
しかも普通に美味い。
これなら特別な日に構える必要がない。
また明日も吸える。
「今日は安いやつでいい」ではない。
今日もこれがいい。
日常にできるということが、どれだけ満足につながるのか。
最近、それを強く感じる。
北乃ガラナさんのお陰なのか、せいなのか
そもそも私が葉巻を吸うようになったきっかけを辿ると、ウイスキーに興味を持ち、偶然北乃ガラナさんの動画に出会ったことにつながっている。
その結果、今こうして外で葉巻を吸っている。
ここは海風も強い。
しかし、それ以上に現代社会から喫煙者へ吹きつける向かい風のほうが強い。
果たしてこれは、
北乃ガラナさんのお陰なのか。
それとも北乃ガラナさんのせいなのか。
深くは考えないでおこう。
ただ一つだけ言えることがある。
葉巻に出会えてよかった。
葉巻を吸っている、まさにこの瞬間こそが幸せだ。
それが一番である。
今回の「乳酸っぽさ」について
今回吸った到着当日のFactory Smokes Maduro Toroでは、北乃ガラナさんが表現していた「乳酸っぽさ」に近い感覚を、私も確認できた。
ただし、常に酸っぱいわけではない。
私の一本では、
序盤に休ませず、早く強く吸ったときに酸味が出やすかった。
一度出ると、その後ペースを戻しても2パフ程度は残る。
3パフ目あたりから、いつものウッディ、カカオ、ピーナッツ系のFS Maduroへ戻った。
中盤以降、普通のペースで吸っている限り、乳酸っぽさが勝手に前へ出てくることもなかった。
なお、北乃ガラナさんの個体とはビトラが異なると思われるため、完全な比較ではない。
また「到着直後だから酸味が出る」と一本だけで断定することもできない。
今回言えるのは、
少なくとも到着当日のToroでも、吸い方によって“乳酸っぽい”と表現したくなる酸味は存在した。
というところまでだ。
次に同じロットを少し休ませて吸えば、また違った発見があるかもしれない。
評価
| 評価項目 | 点数 | 評価理由 |
| 味 | ★★★★☆ | カカオとピーナッツを中心に、ウッディ、レザー、コーヒー、終盤にはバター感も。ゆっくり吸えば最後まで十分に美味しい。 |
| 煙量 | ★★★★☆ | ドローが重めの今回の個体でも、満足できる煙量だった。 |
| 甘み | ★★★☆☆ | 甘さが主役ではないが、カカオやナッツの奥に穏やかな甘みがある。 |
| 変化 | ★★★★☆ | ウッディ、ピーナッツ、カカオ、レザー、バター、コーヒーと、追ってみると思った以上に細かな変化があった。 |
| コストパフォーマンス | ★★★★★ | 約515円でToroサイズ、70分楽しめる。改めて恐ろしい。 |
| 作り | ★★★☆☆ | 今回はドロー重め。片燃えも複数回発生したが、修正しながら問題なく完走できた。 |
| 満足感 | ★★★★☆ | 味だけでなく「日常にできる」ということ自体が満足につながる一本。 |
| 再購入 | ★★★★☆ | 何度でも吸いたい。というより、すでに日常用として成立している。 |
| 読書適性 | ★★★★☆ | ゆっくり吸えば安定しており、ながら吸いにも向く。ただし序盤の吸い急ぎには少し注意。 |
総評
今回のレビューは「乳酸っぽい味は本当にあるのか」という軽い検証から始まった。
そして実際に乳酸らしい酸味は見つかった。
だが、最後に残ったのは乳酸の話ではなかった。
片燃えする。
ドローも少し重い。
終盤には苦味も渋みも出る。
高級葉巻ほど複雑でもない。
それでも、ゆっくり吸えば美味しい。
そして515円で、70分も幸せになれる。
Factory Smokes Maduroより美味しい葉巻は、きっとたくさんある。
しかし、
Factory Smokes Maduroより私を満足させてくれる葉巻は、案外少ないのかもしれない。
特別な日に吸う最高の一本もいい。
でも、幸せな時間を日常にできる一本もいい。
今日もFactory Smokes Maduroを吸えてよかった。
ワンコインか。
改めて恐ろしいな。

コメント