ダイエット中でも、摂取カロリーを管理できればお酒を飲みながら体重を落とすことはできます。
しかし、単純に「酒のカロリーだけ数えればよい」という話でもありません。
アルコールにはカロリーがあり、体内では優先的に処理されます。その間は脂質の利用が抑えられやすく、さらに食欲や判断力が乱れて、つまみまで増えやすいからです。
そして重要なのが、普段の食生活です。
糖質を主なエネルギー源にしている一般的な食生活と、ケトジェニック中では、飲酒時に起こり得る影響が同じではありません。
そのため、酒に含まれる糖質と、アルコールそのものの代謝は分けて考える必要があります。
先に結論
| 食生活 | 飲酒時に特に注意したいこと |
|---|---|
| 糖質中心の一般的な食生活 | 酒のカロリー、糖質、脂質の多いつまみ、食欲の増加 |
| ローファットダイエット | アルコールと脂質を同時に増やさない |
| ケトジェニック | 酒の糖質だけでなく、空腹時の飲酒、血糖維持、飲みすぎに注意 |
| 共通 | 飲酒量を把握し、一日の総摂取カロリーへ含める |
糖質中心でもケトジェニックでも、酒を飲んだ時点でダイエットが失敗するわけではありません。
ただし、同じ酒でも身体側の前提条件が違うため、飲み方も変えた方が安全です。
アルコールにもカロリーはある
アルコールは1g当たり約7kcalあります。
「エンプティーカロリーだから太らない」といわれることがありますが、栄養素が少ないという意味であって、カロリーが消えるわけではありません。厚生労働省も、アルコール飲料には高カロリーな飲食物という側面があると説明しています。
純アルコール量は、次の式で計算できます。
酒の量(ml)×アルコール度数÷100×0.8
=純アルコール量(g)
最後の0.8は、アルコールの比重です。
酒に含まれるアルコール由来のカロリー
| 酒 | 純アルコール量 | アルコール由来のカロリー |
|---|---|---|
| ビール500ml・5% | 20g | 約140kcal |
| 焼酎90ml・25% | 18g | 約126kcal |
| ウイスキー45ml・40% | 14.4g | 約101kcal |
| ワイン120ml・13% | 約12.5g | 約87kcal |
これはあくまでアルコール部分だけのカロリーです。
ビール、ワイン、日本酒、甘いチューハイ、カクテルなどには、糖質由来のカロリーも加わります。正確に管理したい場合は、商品ごとの栄養成分表示を見るのが確実です。
アルコールを飲むと、なぜ脂肪が燃えにくくなるのか
アルコールは身体に保存しておけず、放置もできないため、肝臓は優先的に分解します。
その間、摂取したアルコールはエネルギーとして利用されやすくなり、脂質の酸化は抑えられます。
人を対象とした研究でも、アルコールを含む食事では、同程度のエネルギーを含む別の食事より脂質の酸化が低下しています。
だからといって、飲酒中に食べた脂質が必ずすべて体脂肪になるわけではありません。
最終的な体重変化は、ある程度長い期間で見た摂取カロリーと消費カロリーの差によって決まります。
ただし、
酒のカロリー
+脂質の多いつまみ
+酔って食欲が増す
が重なると、カロリー超過しやすくなります。実験でも、適量のアルコールがその後の食事量を増やす場合が確認されています。
アルコールそのものだけでなく、酒によって起こる食行動まで含めて管理することが大切です。
糖質中心の一般的な食生活で酒を飲む場合
米、麺、パンなどを普段から食べている場合、身体は主にブドウ糖を利用し、肝臓にも一定量のグリコーゲンが蓄えられています。
アルコールを飲むと、肝臓で新しくブドウ糖を作る「糖新生」が抑えられます。
ただし、糖質を十分に摂っていて肝臓にグリコーゲンが残っていれば、グリコーゲンを分解して血糖を支えることもできます。空腹時の健康な男性を対象にした研究でも、アルコール摂取後には糖新生が低下する一方、グリコーゲン分解が血糖維持を補っていました。
そのため、普通に食事を取りながら少量飲んだ健康な人が、必ず低血糖になるわけではありません。
糖質中心の食生活で問題になりやすいのは、むしろ次の組み合わせです。
酒のカロリー
+ビールや日本酒などの糖質
+揚げ物や締めの炭水化物
アルコールを処理している間は脂質の利用が抑えられやすいため、ローファットダイエット中なら、酒を飲む日は特に脂質量を意識した方が調整しやすくなります。
糖質中心・ローファット中のつまみ
- 刺身
- 焼き魚
- 鶏むね肉、ささみ
- 冷ややっこ
- 枝豆
- だし巻き卵
- 油を控えた鍋物
- 漬物や海藻
酒を飲むからといって、つまみをサラダチキンだけにする必要はありません。
ただし、唐揚げ、ポテト、チーズ、ナッツ、マヨネーズ系を重ねると、アルコールと脂質でカロリーが一気に増えます。
ケトジェニック中に酒を飲む場合
ケトジェニック中は糖質摂取量が少なく、肝臓のグリコーゲン量も一般的な食生活より低くなりやすい状態です。
身体は脂肪酸やケトン体を利用しながら、必要なブドウ糖を糖新生によって作ります。ケトジェニックでは肝臓のグリコーゲンが減り、糖新生への依存が高まることが示されています。
そこへアルコールが入ると、肝臓はアルコールの処理を優先します。
同時に糖新生も抑えられるため、
- 空腹
- 摂取カロリー不足
- 長時間の糖質制限
- 大量飲酒
- 嘔吐や食事不足
が重なると、血糖を維持する余裕が小さくなる可能性があります。
ケトジェニック中の飲酒後に、強い低血糖とケトーシスが生じた症例も報告されています。ただし症例報告であり、ケト中に酒を飲めば誰でも低血糖になるという意味ではありません。
重要なのは、
ケトジェニックは、空腹で酒を大量に飲んでも平気になる食事法ではない
ということです。
むしろ、糖質中心の生活で飲めていた量を、そのままケト中へ持ち込むのは危険な場合があります。
酒を飲むとケトーシスから抜けるのか
これは、酒の種類によって分ける必要があります。
ビール、日本酒、甘いワイン、梅酒、リキュール、甘いカクテルなどは糖質を含みます。
糖質量が自分の許容量を超えれば、血糖とインスリンが上がり、ケトーシスから外れる可能性があります。
一方、ウイスキーや焼酎など、糖質をほとんど含まない蒸留酒では、糖質によって直接ケトーシスから外れるとは限りません。
しかし、
糖質ゼロ
=ケトジェニックへ影響がない
ではありません。
アルコール処理が優先されている間は脂質の酸化が抑えられます。また、アルコール摂取後に血中ケトン体が増えることもあります。特に空腹時には、その増加が大きくなる場合があります。
つまり、飲酒後にケトン体の数値が高かったとしても、
体脂肪の燃焼が加速した
とは限りません。
ケトン体が出ていることと、ダイエットが順調に進んでいることは同義ではないのです。
ケトジェニック中に選びやすい酒
糖質量だけで見れば、次の酒は比較的調整しやすいです。
- ウイスキー
- 焼酎
- ジン
- ウォッカ
- ラム
- 糖質の少ない辛口ワイン
ただし、糖質が少なくてもアルコールのカロリーはあります。
また、炭酸水割りなら糖質は増えませんが、ジュース、コーラ、トニックウォーター、シロップなどで割れば糖質が追加されます。
商品によって糖質量は異なるため、表示を確認してください。
ケト中のつまみ
- 肉
- 魚
- 卵
- 豆腐
- チーズ
- ナッツ
- アボカド
- 糖質の少ない野菜
ケトジェニックでは脂質を恐れる必要はありませんが、酒のカロリーまで加わる点は同じです。
「糖質ゼロだから無限に飲み食いできる」わけではありません。
空腹時の飲酒は避ける
アルコールは、特に長時間食べていない状態で飲むと、身体が血糖を一定に保ちにくくなります。公的な医療情報でも、食事不足と飲酒が重なると低血糖の危険が高まるとされています。
これは糖尿病薬を使用している人では特に重要ですが、糖尿病がない人でも、
- 長時間の空腹
- 極端なカロリー不足
- ケトジェニック
- 過度な飲酒
を重ねる理由はありません。
酒を飲む日は、先に食事を取る。
単純ですが、これが最も重要です。
糖質制限中に意識を失った私の失敗
以前、私は糖質制限中に友人たちとの飲み会へ参加しました。
食べたのはシーザーサラダ、だし巻き卵、焼き鳥など、なるべく糖質の少ないもの。
当時は甲類焼酎のお茶割りにハマっており、その日も普段どおり飲んでいました。
ところが、何度かトイレへ立った頃から、普段は感じない頭痛が出てきました。
違和感があったにもかかわらず、そのまま飲酒を継続。
糖質制限前なら問題なく飲めていた量の半分ほどで、突然意識を失いました。
当時は血糖値を測定していません。
したがって、原因が低血糖だったとは断定できません。
急性アルコール中毒、血圧低下、脱水、食事不足など、複数の要因が重なった可能性もあります。
ただし一つ確かなのは、
糖質中心の生活で飲めた酒量を、糖質制限中にも飲めるとは限らない
ということです。
身体の燃料状態が変われば、同じ酒量でも反応が変わる可能性があります。
頭痛、強い眠気、冷汗、震え、動悸、脱力、吐き気、意識の違和感などが出たら、飲酒を続けてはいけません。
意識を失った人へ、無理に飲食物を口から与えるのも危険です。反応がおかしい場合は救急要請が必要です。
ダイエット中の酒は、禁止ではなく設計する
酒を飲まない方が、カロリー管理も健康管理も簡単です。
だからといって、酒が好きな人に対して、
ダイエット中は一滴も飲むな
とだけ言っても、長く続かない場合があります。
私にとって酒は、単なる栄養ではありません。
味、香り、料理との組み合わせ、ゆっくり過ごす時間まで含めた味覚体験です。
だからこそ、無計画に飲むのではなく、飲む日を設計する必要があります。
糖質中心・ローファットなら
- アルコールのカロリーを計算する
- 酒に含まれる糖質も確認する
- 脂質の多いつまみを重ねすぎない
- 締めの炭水化物まで想定する
ケトジェニックなら
- 糖質の少ない酒を選ぶ
- 空腹で飲まない
- 糖質ゼロでもアルコールのカロリーは数える
- 以前飲めた量を基準にしない
- 体調に違和感があればすぐに中止する
どちらにも共通するのは、純アルコール量を把握することです。
厚生労働省も、飲酒量を酒の杯数ではなく、純アルコール量で把握することを勧めています。また、体重を管理できていても、アルコールによる疾病や事故のリスクがなくなるわけではありません。
最後に
ダイエット中でも、酒を飲みながら痩せることはできます。
しかし、
カロリーさえ収まれば、身体への影響はすべて同じ
ではありません。
糖質を食べている時と、ケトジェニック中では、身体が血糖を維持する方法が違います。
酒の種類が同じでも、飲む人の栄養状態、食事量、空腹時間によって結果は変わります。
酒を敵にする必要はない。
しかし、酒をただの水として扱ってもいけない。
長く楽しみたいからこそ、自分が今どのような食生活をしているのかまで考えて飲む。
それが、ダイエット中に酒と付き合うための現実的な方法だと思います。


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