葉巻は金持ちの趣味なのか?1本600円から始める「葉巻時間」

酒・葉巻

葉巻と聞くと、どのような姿を想像するだろうか。

スーツ、革靴、高級ウイスキー。

薄暗いラウンジで、成功者らしき男性が煙をくゆらせている。

私も葉巻を始める前は、どこか遠い世界の趣味だと思っていた。

しかし、実際に調べてみると、葉巻の価格帯は驚くほど幅広い。

一本数千円、数万円の葉巻がある一方で、国内でも一本600円から楽しめるプレミアムシガーがある。個人輸入やまとめ買いまで視野に入れれば、選択肢はさらに広がる。

高級なのは葉巻そのものではない。

葉巻にまとわせている演出なのかもしれない。

ただし、紙巻たばこと同じものだと考えると、少し話が違ってくる。

葉巻は、一本を吸うために30分から1時間以上かかる。

忙しい労働者にとって、本当に高いのは一本の値段ではない

葉巻を吸うための「時間」なのである

この記事はこんな人におすすめ

  • 葉巻に興味はあるが、高そうで手を出せない
  • 葉巻と紙巻たばこの違いが分からない
  • 仕事や日常から離れられる時間が欲しい
  • 甘いもの以外の味覚体験を探している
  • スーツと革靴ではなく、普通の日常で葉巻を楽しみたい

逆に、短時間で手軽に喫煙だけを済ませたい人には、葉巻は少し面倒に感じるかもしれない。

葉巻は一本いくらするのか

葉巻には、非常に幅広い価格帯がある。

キューバ産の高級葉巻だけを見れば、確かに金持ちの趣味に見えるだろう。

しかし、非キューバ産やドライシガーまで含めると、状況はかなり変わる。

私が日常的に選ぶ基準は、おおむね一本1,000円以下だ。

国内で安定して購入しやすいものなら、

・トスカネロ
・キース
・ビリガー・エクスポート
・アロマデニカ384

などが候補になる。

トスカネロ、キース、ビリガーは、比較的手軽に扱えるドライシガー。

アロマデニカ384は、加湿保管が必要になるものの、プレミアムシガーらしい味わいを国内で手頃に楽しめる。

一本600円の葉巻を約1時間吸うなら、時間単価は600円。

喫茶店でコーヒーを飲んだり、映画を一本観たりするのと比べても、特別に異常な金額ではない。

問題は、一本600円だから安いと思い、25本単位で買い始めることである。

そこから先は、庶民の趣味というより国家備蓄になる。

紙巻たばこと葉巻は何が違うのか

紙巻たばこは、数分で吸い終わる。

仕事の休憩中や移動の合間にも吸えるため、短時間で完結する喫煙だ。

一方、葉巻は長い。

小さなものでも十数分。大きなプレミアムシガーなら、一時間を超えることも珍しくない。

そして基本的には、煙を肺へ吸い込まない。

煙を口の中に含み、舌や鼻で香りを感じてから、口から吐き出す。

もう一つの楽しみ方が、レトロヘイルだ。

口に含んだ煙の一部を鼻から抜くことで、口から吐くだけでは分かりにくかった甘み、ナッツ、スパイス、木、革などの香りを感じやすくなる。

同じ葉巻でも、

口から吐いたときの味
鼻から抜いたときの香り

は異なる。

葉巻は、煙の量を消費するというより、香りの中から味を探す趣味に近い。

葉巻で一番難しいのは、時間を確保すること

一本600円なら、普通の労働者でも買える。

しかし、一時間を自由にするのは簡単ではない。

仕事から帰れば、食事、風呂、洗濯、片付けがある。

休日にも、買い物や用事がある。

何となくスマートフォンを見ていたら、一時間くらい簡単に消えていくのに、

「これから一時間、葉巻を吸う」

と決めると、急に難しく感じる。

だから葉巻を吸う前には、少し準備が必要になる。

先に用事を済ませる。

飲み物を用意する。

落ち着いて座れる場所を作る。

本を読むのか、何もせず味に集中するのかを決める。

この準備によって、それまで何となく消えていた一時間が、はっきりとした意味を持つ。

葉巻は、忙しく、ただ何となく過ぎていた時間にメスを入れる行為なのだと思う

「葉巻時間」という考え方

私にとって葉巻は、単にたばこを吸う趣味ではない。

自分の時間を、自分へ戻すための装置である

葉巻に火をつけると、しばらくその場から動きにくくなる。

火が消えないように、ときどき吸う。

早く吸いすぎれば熱くなり、味も崩れる。

だから、急ぐことができない。

仕事のことを考えていても、少しずつ葉巻の香りへ意識が戻ってくる。

本を読んでいても、数ページごとに煙を味わう。

何もせずに吸っていると、今まで言葉にならなかった考えが、自然と浮かんでくることもある。

仕事について。

社会について。

自分は何を大切にしたいのか。

なぜ自分は、これを嫌だと感じるのか。

葉巻が答えを教えてくれるわけではない。

ただ、答えを考えるための時間を作ってくれる。

忙しい生活では、考える時間まで効率化の対象になる。

葉巻は、その流れに逆らって一時間を確保する。

煙を買っているようで、実際には自分の時間を買っているのかもしれない

最初から高価な道具は必要ない

葉巻と聞くと、高価なライターや木製のヒュミドール、専用の灰皿が必要だと思うかもしれない。

しかし、最初から大げさな道具を揃える必要はない。

まず必要になるのは、

・ガスライター
・灰皿
・プレミアムシガーならカッターまたはパンチカッター

この程度である。

ガスライターは、百円ショップで売っているものでも十分だ。

風の強い屋外では火が安定しにくいものの、最初の一本を試すために高価な葉巻用ライターを買う必要はない。

灰皿も、最初から葉巻専用の大きなものを用意しなくてもよい。

百円ショップの陶器製や金属製の灰皿、安定した耐熱性の器でも代用できる。

ただし、葉巻の灰は紙巻たばこよりも大きく、崩れやすい。

プラスチック容器や燃えやすい皿は避け、火を消したあとも完全に消火したことを確認してほしい。

トスカネロなどのドライシガーなら、基本的に大がかりな加湿保管は必要ない。

プレミアムシガーを数本だけ保管する場合も、

・百円ショップのジップ付き保存袋
・ボベダなどの調湿剤
・直射日光の当たらない冷暗所

があれば、ひとまず十分である。

専用品として購入する必要があるのは、実質的にはボベダと、必要に応じてカッターくらいだろう。

最初から高価な木製ヒュミドールを買う必要はない。

まずは一本試してみて、続けたくなってから必要な道具を増やせばいい。

なお、普通は保管庫を買ってから葉巻を増やすのではない。

葉巻を買いすぎてから、保管庫を増やす。

プレミアムシガーを数本保管するなら、ジップ付き保存袋とボベダがあれば十分です。


煙草の湿度調整剤 ボベダ boveda humidipak 69%

初心者におすすめしたい葉巻

加湿保管をしたくないなら、トスカネロ

保管や道具の手間を減らしたいなら、トスカネロが始めやすい。

ドライシガーなので大がかりな加湿は不要。吸い口も最初から切られているため、カッターも必要ない。

葉巻本来の味を試したいなら非着香。

甘い香りが好きならバニラ、お酒が好きならグラッパ、コーヒー好きならカフェも選べる。

まずは自分が普段好きな香りから選べばいい。


トスカネロ・ナチュラーレ(5本入・非着香)


トスカネロ・カフェ(5本入・コーヒー着香)

短時間で手軽に試すなら、キース・ブレイクタイムやビリガー・エクスポート

キース・ブレイクタイムやビリガー・エクスポートも、国内で安定して購入しやすい。

プレミアムシガーほど長時間ではなく、日常の中へ組み込みやすい。

いきなり大きな葉巻を一本吸い切る自信がないなら、この辺りから試すのもよいと思う。


キース・ブレイクタイム(5本入)


 ビリガーエクスポート ナチュラル(5本入)

プレミアムシガーを試すなら、アロマデニカ384

少しだけ加湿保管ができるなら、アロマデニカ384をすすめたい。

シルキーで、ナッティで、クリーミー。

小さなサイズながら、プレミアムシガーらしい柔らかな味わいを楽しめる。

国内で安定して買えることも大きい。

葉巻が高級そうで怖い人にこそ、

「この価格で、これほど豊かな味になるのか」

と体験してほしい一本である。

キューバ葉巻が気になるなら、キューバショート

コイーバ、モンテクリスト、トリニダッドなどには、小さなキューバショートもある。

本格的なキューバ産プレミアムシガーとまったく同じものではないが、キューバ系の香りへ触れる入口にはなる。

短時間で吸いやすく、価格も通常のキューバ葉巻より現実的だ。


モンテクリスト ショート(10本入)


コイーバ ショート(10本入)

個人輸入は、気に入った銘柄を見つけてから

個人輸入では、国内より安く買える葉巻も多い。

特にバンドルセールは強い。

気に入った銘柄を20本、25本単位でまとめ買いすれば、一本当たりの価格をかなり抑えられることがある。

ただし、最初の一本から個人輸入をすすめたいわけではない。

葉巻は、同じ価格でも好みが大きく分かれる。

甘いものが好きな人もいれば、土、革、胡椒のような強い味を好む人もいる。

一本試して合わなかった葉巻が、残り24本ある。

これは少し悲しい。

まず国内で少量を試し、自分の好みを知る。

気に入った銘柄が見つかってから、個人輸入のバンドルセールを使う。

この順番が失敗しにくい。

ただしセール画面を見ていると、まだ吸ったことのない葉巻まで安く見えてくる。

買う前は価格を見ろ。

買った後は忘れろ。

葉巻は、普通の人が楽しんでいい

葉巻は、成功者の証明書ではない。

高級車を持っていなくてもいい。

スーツを着る必要もない。

高級ウイスキーがなくても、コーヒーで十分に楽しめる。

仕事帰りの労働者が、安い椅子に座り、本を読みながら一本吸ってもいい。

むしろ葉巻は、忙しく働く普通の人にこそ必要な趣味なのかもしれない。

日常から一時間を切り離し、自分のために使う。

それだけで、何となく過ぎていた夜が、記憶に残る時間へ変わる。

最後に

葉巻を始めようとしている、過去の自分に何か言うとすれば、

「良いセンスだ。」

……というのは冗談である。

ただ、素晴らしい時間になることは約束できる。

葉巻時間という概念を知ることで、それまで何となく過ぎていた時間に意味が生まれる。

本を読み、味を探し、ときには仕事や社会、自分の生き方について考える。

何より、心地よい味覚体験を楽しめる。

しかも、カロリーはゼロだ。

葉巻は、思っているほど遠い趣味ではない。

最初の一本へ火をつけた瞬間から、その時間はあなたのものになる。

ただし、火の後始末だけは忘れてはいけない。

ブログに火がつくのは歓迎だが、自宅まで燃やす必要はない。

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